土地の「相続税価格」が5年連続上昇-京都・四条通は1㎡911万円に
2026.09.07

京都市西京区の会計・税理士事務所 渡利会計事務所です
相続税・贈与税で土地を評価するときの物差しになる路線価(令和8年分)が7月1日に公表されました。全国平均は+2.9%と5年連続の上昇で、いまの方式になってから最大の伸びです。京都府は+3.9%。土地をお持ちの方の相続税は、何もしなくても毎年少しずつ増えている、ということになります。
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何がどれだけ上がったのか
路線価は、主要な道路に面した土地1㎡あたりの評価額で、国税庁が毎年7月に公表します。おおむね時価(公示価格)の8割の水準に設定され、相続税・贈与税の土地の評価はこれをもとに計算します。関係するのは土地だけで、建物や預金・株式などの金融資産の評価には影響しません。
近畿2府4県の平均は+3.2%。内訳は大阪+5.1%・京都+3.9%・兵庫+2.4%・滋賀+1.3%、奈良は+0.1%と18年ぶりに上昇へ転じ、和歌山は▲0.5%。同じ近畿でも差が開いています。
どこが上がっているのか——再開発と観光
上昇をけん引しているのは、大都市の中心部に加えて再開発地区と観光地です。各地の税務署別の最高路線価では、次のような地点が目立ちました。
| 地点 | 上昇率 | 上がった背景 |
|---|---|---|
| 江坂駅前(大阪・吹田市) | +18.1% | 近畿83署の最高路線価で上昇率1位。大阪中心部への近さと再開発 |
| 広島駅前(広島市南区) | +22.5% | 駅前再開発。路面電車の駅ビル乗り入れ、商業施設の開業 |
| 高山市上三之町(岐阜) | +23.5% | 全国6位。古い町並みを訪れるインバウンド観光客の増加 |
京都市内も観光地・中心部を中心に上昇が続いており、商業地や駅近の土地ほど上げ幅が大きい傾向です。
相続税にどう効くのか
たとえば路線価40万円/㎡・250㎡(評価額1億円)の土地なら、+3.9%で評価は約390万円上がります。相続税の税率が30%の方なら、税額にして約120万円の増加。この積み上がりが5年続いています。
ただし、上がった分がそのまま税額に乗るわけではありません。小規模宅地等の特例で、自宅は330㎡まで8割減、事業用の土地は400㎡まで8割減、賃貸用の土地も200㎡まで5割減と、土地の使い方に応じた大きな割引があります(複数を併用する場合は面積の調整計算があります)。特例が使える土地では、路線価の上昇の影響も2〜5割に圧縮される計算です。さらに賃貸物件の敷地は「貸家建付地」として、特例とは別に2割前後評価が下がります。
つまり路線価の上昇をまともに受けるのは、特例の枠を超える部分と、誰も使っていない遊休地です。逆にいえば、土地の使い方と誰が引き継ぐかの設計しだいで、同じ土地でも税額は大きく変わります。
実務上の対応・税務上の留意点
① 相続税の試算を最新の路線価で更新する。数年前の試算は、土地の評価も税額も古くなっています。まず現在地の把握からです。
② 自宅・事業用地・賃貸物件について小規模宅地等の特例が使える形になっているかを確認する。誰が住むか・誰が継ぐかで適用の可否が変わります。
③ 評価が上がり続ける土地は、生前贈与の検討も選択肢です。相続時精算課税を使うと、相続税の計算に足し戻される金額が贈与したときの評価額で固定されます。
土地の評価チェックと相続税の試算は、当事務所までお気軽にご相談ください。
【ご参考】自社株の評価方法の見直しが報じられています(9月7日時点)
8月20日、国税庁の有識者会議が自社株(取引相場のない株式)の評価方法を見直すたたき台を示しました。決め手を「会社の大きさ」から「稼ぐ力」へ移す方向で、利益の出ている会社ほど評価は上がる見込みです。ただし、何年分の利益を上乗せするか、適用をいつからにするかといった計算の前提も時期も未定で、金額を試算できる段階ではありません。
一方で、受け皿を強くする動きも出ています。8月31日、中小企業庁は令和9年度の税制改正要望で、評価の見直しについて「企業の成長や事業承継を阻害しないよう慎重な検討を」と求めるとともに、令和9年末に期限を迎える事業承継税制を「抜本的に見直し・強化」するよう要望しました。中身はまだ「検討中」ですが、土台になった研究会では「10年事業を続ければ猶予税額を免除する」「報告回数や添付書類を減らす」「雇用要件に賃上げを加味する」といった使いやすくする方向の案が挙がっています。
なお、この研究会は親族内承継(ファミリービジネス)を対象にしたもので、従業員など親族外への承継については、税制上の論点整理がまだ進んでいません。親族外承継をお考えの会社は、動きが見えるまで時間がかかる可能性があります。
いま慌てて贈与やM&Aを行う必要はありません。評価の見直しも税制の受け皿も、いずれも決定前です。株価の見直しを材料にした会社売却の勧誘も増えていると聞きますが、今回見直されるのは相続税・贈与税の評価額で、会社の売却価格とは別のものです。「上がる前に」という誘い文句に乗る段階ではありません。議論の進み具合は当事務所で追いかけ、内容が固まりましたら改めて詳しくお知らせします。
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土地の評価チェックや相続税の試算のご相談は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
出典:国税庁「令和8年分の路線価等について」・大阪国税局・名古屋国税局・広島国税局の同発表資料、国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」第5回資料(8月20日)、経済産業省「令和9年度税制改正要望」(8月31日)、中小企業庁「ファミリービジネスのガバナンスの在り方に関する研究会」資料(2025年12月)を基に弊所作成(2026年9月参照)
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2026/rosenka/index.htm
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